サウジ、カナダ大使を追放 活動家拘束への批判受け
(CNN) サウジアラビアの外務省は5日、声明を発表し、カナダの大使に向けて「24時間以内に」国外へ退去するよう通告した。自国の駐カナダ大使も召喚した。カナダの外務省が、サウジ国内で人権侵害が行われているとの批判を展開したことへの対抗措置とみられる。
声明ではサウジに対するカナダの姿勢を「侮辱」と形容。「サウジの主権に干渉するあらゆる試みを防ぐため、厳しい対応が必要だ」として、大使の追放に加えてさらなる措置に踏み切る可能性にも言及した。
サウジ政府は先ごろ、人権活動への大規模な取り締まりを行い、多くの著名な活動家を拘束した。これを受けカナダ外務省は先週、サウジに対し活動家らの「即時解放」を強く求めるツイートを相次いで投稿していた。
国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」によると、サウジでは5月に始まった女性の権利を訴える活動への対応として「過去に例のない規模の取り締まりの結果、十数人以上が逮捕された」という。
サウジ外務省は声明でこれらの逮捕者について「刑罰の対象となる罪を犯したため、検察によって合法的に拘束されている。拘束中の人権は保障され、捜査や裁判の間も正当な法的保護を受けられる」と説明した。
そのうえでカナダ側が「即時解放」を求めてきたことに言及し、主権国家間のやりとりでこのような言葉の使用は受け入れられず、非難されてしかるべきとの認識を示した。
さらにカナダとの新規事業や投資取引も凍結することになると明言した。カナダ政府によると両国の昨年の貿易額は40億カナダドル(約3420億円)を超えていた。