遠足にはしゃぐ子どもたち、バス空爆前の映像 イエメン
(CNN) 車内に笑い声や歓声を響かせて、待ちに待った遠足を楽しむ子どもたち――。イエメン北部のサアダで今月9日、空爆に遭ったスクールバスでの様子を、男子生徒の1人が撮影していた。数十人のクラスメートとともに、この生徒も死亡した。
赤ペンを片手に出席を取ろうとする声が、大勢のおしゃべりにかき消される。見送りの親たちが窓の外から手を振った。
バスではしゃぐのは6~11歳とされる少年たち。2カ月間の夏期宗教教室に参加し、締めくくりの遠足に出かけていた。
一行は反体制派の墓地に向かった。教師のヤヒヤ・フセインさん(40)は、「ここではほとんどの公園や庭園が戦争で破壊されてしまった」と話す。緑が残っているのは寺院や墓地ばかりだ。
ビデオの中で、イスラム教の聖典コーランの暗唱を終えた生徒たちがバスから飛び降り、墓地で追いかけっこを始めた。撮影した生徒が「待って! 写真を撮ろう」と呼び掛ける声も入っている。
この後、生徒たちがバスに戻ったところで悲劇は起きた。遠足に遅れて合流したフセインさんは、近くに車を止めようとした時に大きな爆発音を聞いた。土ぼこりと煙が立ち上り、遺体と血の飛び散る凄惨(せいさん)な光景が目の前にあった。
同国の親米暫定政権を支持し、反政府武装組織「フーシ」と戦うサウジアラビア主導の有志連合による空爆だった。サウジは、フーシの攻撃に対する報復として「正規の標的」を狙ったと主張している。