シリア軍、反体制派最後の拠点を総攻撃か 化学兵器使用に懸念
ワシントン(CNN) 内戦が続くシリアで、反体制派の最後の拠点となっているイドリブ県に対し、政府軍が総攻撃に出る兆しが強まっている。複数の米当局者によると、米軍や情報当局は、シリア政府軍が化学兵器を搬入し、市民に対して使う可能性もあるとみて、警戒を強めている。
米当局者によれば、シリア政府軍がイドリブ県で強い抵抗に遭った場合、塩素を詰めたたる爆弾をヘリコプターから投下する可能性もある。そうした攻撃は過去にも行われたとしている。
現時点で化学兵器の移動は確認されていないものの、シリア政府軍は、既に現地入りしている数千人の部隊に加え、エリート歩兵部隊をイドリブ県南方に移動させたという。
この地域はトルコとの国境に近く、もしも全面的な戦闘になれば、シリア、ロシア、トルコ、そして米軍の戦闘用航空機が互いに遭遇する恐れもある。
ロシア政府は数日前から、米国やその同盟国がシリア政府による化学兵器の使用を口実とした空爆の準備を進めているという情報を、相次いでソーシャルメディアに流している。
米海軍がシリアのアサド大統領を攻撃する目的で地中海東部のプレゼンスを強化しているというロシアの主張に対し、米国防総省のペイホン報道官は「プロパガンダ以外の何物でもなく、事実ではない。ただし、大統領がそうした行動を指示した場合、即応できる態勢を整えていないわけではない」とコメントした。
シリア政府軍の動きについては、「イドリブ県でシリア政権が民間人や民間インフラを軍事攻撃する可能性があるとの情報について懸念している」と述べ、化学兵器が再び不正に使用される恐れもあると強調した。