英語能力試験の不正めぐるビザ取消、議員が調査を要求 英
ロンドン(CNN) 英国で外国人のビザ申請に必要な英語能力の証明に使われていた検定試験「TOEIC(トーイック)」での不正が発覚し、内務省が外国人学生ら数万人のビザを取り消したり申請を却下したりした問題をめぐり、英議会で超党派の議員グループが独立機関による調査を求めている。
議員らは4日の審議で、内務省が外国人らに試験を受け直したり、英国内にとどまって不服を申し立てたりする機会を与えず、十分な証拠も示さずに追放したことを非難。この問題は「英国の忘れられた移民スキャンダル」で、「世界に対する我が国の恥」だと主張した。
TOEICで大規模な不正があったとの疑惑は、2014年に英BBCテレビの番組で発覚した。16年に議員グループがまとめた報告書によると、内務省は14~16年に2万8000件のビザを取り消しまたは却下し、4600人以上に国外退去を命じた。
英国内にとどまった場合は不法移民とみなされ、就労や就学を認められない。家を借りたり、公共サービスを利用したりすることもできない。
一部の外国人は不正に関与していないと主張し、何年もかけて無実を証明したが、内務省からの補償は一切なかった。対象者のうち数百人は、現在も英国内や母国で法廷闘争を続けている。
ノークス移民担当相は4日、不正発覚を受けた政府の措置は適切だったと改めて主張し、潔白が認められた人々については「遺憾」と述べるにとどまった。これに対して議員からは、内務省がこの人々に謝罪するべきとの声が上がった。
ある議員は「家族から引き離されて拘束されたり、英国から追放されたりした人々がいる。財産も取り上げられた。完全に内務省の責任だ」と力説した。