米、ロシアのミサイル「排除」を示唆 核条約違反に対抗
(CNN) 北大西洋条約機構(NATO)米代表部のハッチソン大使は2日、米国がロシアのミサイルを「排除」する可能性があるとの見解を表明した。対象となるのは中距離核戦力(INF)全廃条約に違反するとされる兵器で、ロシアが条約違反を続けるのであれば実力行使も辞さないと警告を発した形だ。
ベルギーのブリュッセルで開かれたNATOの国防相級の会合での記者会見で述べたとされる。その中でハッチソン大使は、「我々は数年間にわたってロシアに対し、条約違反を指摘するメッセージを送り続けている。実際に条約違反の証拠の提示も行ってきた」「ロシアは条約に反して中距離弾道ミサイルを製造している。これは事実として証明済みだ」と強調した。
ロシアの条約違反に対してどういった措置を講じるのかとの質問を受けてハッチソン大使は「条約に反して開発中のミサイルを排除することが考えられる」と説明。それらのミサイルは欧州の各国や米アラスカ州などを攻撃できる性能を持つとも指摘した。
その後同大使はツイッターで、ミサイルの「排除」への言及について「ロシアに先制攻撃を仕掛けるという話ではない。言いたかったのは、ロシアは改めてINF全廃条約を順守するべきであり、それが実現しないのであれば我々も相応の準備をして米国とNATOの国益を守らなくてはならないということだ」と語った。
このツイートに先駆け、ロシア外務省のザハロワ報道官はハッチソン大使の言動を「攻撃的かつ破壊的」と非難。CNNの取材に答え「このような声明を出す人は、自身の責任の重さやこうした攻撃的な物言いが持つ危険性について認識していないのではないか」と述べた。