米中艦船の異常接近、写真で如実に 南シナ海で米海軍撮影
(CNN) 中国が主権を主張する南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島のガベン礁付近で先月30日発生した米海軍駆逐艦と中国軍駆逐艦の異常接近で、衝突しかねない事態にまで陥っていたことを示す米海軍撮影の空中写真が存在することが4日までにわかった。
CNNの求めで写真を分析した元米海軍大佐は、とっさの回避行動がなければ数秒後に衝突していた恐れがあったと指摘した。
写真は米海軍航空機が撮影したものだが、海軍は公表していない。ただ、写真4枚が海事専門家らのサイト「ジーキャプテン」に掲載された。米政府当局者3人がCNNの取材に写真は本物と確認した。
写真で見ると、蘭州級の中国駆逐艦は背後から米誘導ミサイル駆逐艦「ディケーター」に近寄り、左舷側に並走するように接近。この状況では海軍関連活動の国際法に照らした場合、ディケーターに航行の優先権があり、同時に方角と速度を維持する義務が生じる。
一方、中国駆逐艦は安全な距離を保ち、米軍艦船のそばを航行する責務を担う。しかし、今回はディケーターに接近した際、右方へ唐突にかじを切り、ディケーターの艦首の方向に割り込むような行動を示したという。
ディケーターはこれを受け、前方への航行を停止する緊急かつ大胆な操舵を強いられた。車に例えれば、急ブレーキを掛け、衝突を避けるためハンドルを右に大きく切る動作に似ているとの指摘もある。
米海軍は1日の声明で、両艦船間の距離は41メートル以内だったとし、中国側は現場からの退去を求める警告を含む攻撃性を強めていく一連の措置を取ったと非難した。