「自由世界のリーダー」 メルケル独首相、与党党首を退任へ
(CNN) 米国がドナルド・トランプ大統領の時代にあって内向き指向を強める中で、ドイツのアンゲラ・メルケル首相は自由世界のリーダーとみなされてきた。
欧州最大の経済大国ドイツを13年にわたって率いてきたメルケル首相が29日、中道右派の与党キリスト教民主同盟(CDU)党首を退く意向を表明した。
メルケル首相は「次の連邦党大会では党首選に出馬しない。首相には立候補せず、その他の公職にも出馬しない」と言明した。
首相としての任期はあと3年残っている。しかしCDUでも連立を組む社会民主党(SPD)でも右派と左派が対立を強める中、CDUの後継争いと相まって、ただでさえ不安定だった連立政権の動揺が一層深まるのは必至だ。
元科学者のメルケル首相は、旧ソ連の影響下にあった東ドイツ出身で、ベルリンの壁が崩壊した後、35歳で政界入り。1990年に議員に選出され、2002年にCDU党首となって、05年には女性として初めて首相に就任した。
当初は決断力や発言力に欠けると批判する声もあったが、ドイツの経済成長に伴ってメルケル首相の人気も上昇。トランプ氏が「(ドイツは)ロシアに完全コントロールされている」と言い放った際は、共産党政権下で育った経験をバネに、そうした発言をはねつけた。
2015年にはシリアなどからの難民100万人以上の受け入れを表明し、批判に対しては「対応できる」と応じていた。