外国人の精神科医、無資格で22年間診療 英
ロンドン(CNN) 英国で、ニュージーランド出身の精神科医が正式な資格を持たないまま22年間診療を行っていたことがわかり、これを受け英当局は国内にいる最大3000人の外国人医師を対象とした履歴調査に乗り出している。
英イングランド北西部のカンブリアで精神科の医師として働いていたゾリア・アレミ受刑者は10月、高齢の患者の遺言状を承諾のないまま書き換えて自らを遺産の相続人とした罪などで有罪となり、禁錮5年の刑を言い渡された。
その後、同受刑者が1995年に英国で医師として登録する際、当局に対しニュージーランド国内の大学で資格を取得したと偽って手続きを済ませていたことが明らかになった。当時の英国の医師法では、英連邦の一部の国で医大を卒業していれば、試験や厳格な書類審査を受けなくても医師の資格を得ることができた。
アレミ受刑者は22年間にわたり医師として勤務。上記の詐欺事件で当局の捜査対象となるまで、その資格について調べられることはなかった。
問題の発覚を受け、医師の資格審査を担当する一般医療評議会(GMC)は、90年代のチェック体制が「適正ではなかった」と認め、患者にリスクがもたらされる結果を招いたことを謝罪。英PA通信は、アレミ受刑者と同様の経緯で英国での医師免許を取得した外国人医師数千人に対し、GMCが履歴の調査を開始したと報じた。
保健省は声明で、GMCに対しアレミ受刑者が医師として登録できた経緯を明らかにするとともに、再発防止策を講じるよう期待すると述べた。