英EU離脱案、歴史的大差で否決
ロンドン(CNN) 英国のメイ首相が欧州連合(EU)との間で取りまとめた離脱案の採決が英議会下院で行われ、英近代史上最大の大差で否決された。
採決を前に議会では8日間にわたって200回もの演説が行われた。しかし採決ではメイ首相の最後の訴えを無視する形で、反対432票、賛成202票の大差で離脱案が否決された。1924年の記録を上回る大差での否決だった。
これでメイ首相が直面する政治的危機は、先が見通せない状況のまま、一層深まることになる。
野党労働党は、直後に内閣不信任案を提出した。危機的な状況に応じて総選挙に持ち込むことを狙う。メイ首相は内閣不信任案について16日に下院で審議することを了承した。
もし不信任案が可決されれば、総選挙が実施される公算が高まる。
一方、不信任案が否決された場合、メイ首相は超党派の交渉を行って打開策を模索する方針。政府は「建設的な」姿勢で交渉に臨むとメイ首相は表明している。
もしコンセンサスが得られれば、改定案をEUに示すとしている。
ただし残された時間は少ない。合意が成立してもしなくても、英国は3月29日にEUを離脱する。「この問題が解決されないまま日がたつほどに、不確実性は高まり、苦悩が増え、憎しみは強まる」とメイ首相は語った。
EUのトゥスク大統領は英議会の採決を受けて声明を発表し、「我々は合意なしのシナリオも含め、あらゆる結果に向けた準備を進める。今回の採決によって無秩序な離脱のリスクは増大した。我々はそうした事態を望まない。だがそれに備えなければならない」と指摘した。