メキシコ「麻薬王」に米陪審が評決 全10件で有罪
(CNN) メキシコ最大級の麻薬組織「シナロア・カルテル」を率いて「麻薬王」と呼ばれ、米国で訴追されていたホアキン・グスマン被告(通称エル・チャポ)に対し、ニューヨーク・ブルックリン連邦地裁の陪審は12日、10件の罪状全てについて有罪の評決を下した。
グスマン被告は長期にわたって組織的な麻薬取引を首謀し続けた罪や、麻薬で得た収益の資金洗浄を共謀した罪などで有罪となった。仮釈放なしの終身刑を言い渡される見通し。量刑言い渡しは6月25日に予定されている。
グスマン被告は法廷から陪審団が去った後、傍聴席の妻に手を振ってほほ笑みかけた。弁護団は上訴の構えを示している。
2カ月半にわたった裁判では、検察側の証人56人が残忍な殺人や拷問の実例や、メキシコ政府全体にはびこる腐敗の現状などについて語った。証人のうち14人は司法取引に応じた麻薬密輸業者やカルテル関係者だった。
一方、弁護側はこうした証言に信ぴょう性がないとの主張を展開した。
グスマン被告はメキシコで収監されたが2001年と15年に脱走し、16年に拘束された後で米国へ引き渡された。被告の拘束や有罪評決にもかかわらず、シナロア・カルテルの勢力は衰えないとの見方が強い。