英首相の離脱案、下院が大差で否決 期限目前に混迷深まる
(CNN) 英下院は12日、メイ首相が欧州連合(EU)との間で合意したEUからの離脱協定案を大差で否決した。離脱期限が今月29日に迫るなか、事態は混迷の度合いを深めている。
メイ氏は議場で枯れた声を張り上げ、協定案が可決されなければ「合意なき離脱」や離脱自体の中止に追い込まれる恐れがあると訴えた。しかし採決は賛成242、反対391という結果に終わった。
離脱協定案は1月に最初の採決にかけられ、歴史的な大差で否決されていた。
メイ氏は11日、英領北アイルランドとEU加盟国アイルランドの国境管理に関する「バックストップ」条項の問題をめぐり協定案を修正することでEU側の同意を取り付け、下院に持ち帰っていた。
メイ氏は2度目の否決に「深い遺憾」の意を表明し、修正案は「最善で唯一の案」だったと改めて訴えた。
この結果を受けて、下院では13日、合意なき離脱の是非を問う採決が行われる。メイ氏は議員らに党議拘束をかけない方針を示した。
合意なき離脱が否決された場合は、離脱を延期するかどうかの採決に移る。ただしメイ氏は「合意なき離脱に反対して延期に賛成しても問題は解決しない」と警告し、「下院は何を望んでいるのを答える必要がある。離脱申請の撤回か、国民投票のやり直しか、この案とは別の離脱協定か」と問い掛けた。
一方、トゥスクEU大統領の報道官はCNNとのインタビューで、協定案が否決されたことで合意なき離脱の可能性が大幅に高まったとの見方を示し、そのシナリオに向けて引き続き準備を進めると述べた。