NZ銃乱射の容疑者、オーストリアの極右活動家に寄付していた
(CNN) ニュージーランド南部クライストチャーチのモスク(イスラム教礼拝所)で起きた銃乱射事件をめぐり、容疑者として逮捕された男がオーストリアの極右活動組織に資金を提供していたことが分かった。同国の当局者が27日、CNNに明らかにした。
今月15日に発生した事件では、オーストラリア国籍のブレントン・タラント容疑者(28)が市内2カ所のモスクで相次いで銃を乱射し、50人を殺害した。オーストリア・グラーツの検察当局の報道官はCNNに対し、タラント容疑者がオーストリアでの「アイデンティタリアン運動」を率いるマルティン・ゼルナー氏(30)の個人口座に約1500ユーロ(約19万円)を寄付していたと述べた。
アイデンティタリアン運動は極右並びに反移民を掲げる運動で、欧州や北米に広まっている。検察当局の報道官によると、オーストリア警察は25日に、脱税の疑いでゼルナー氏の自宅を捜索していた。
警察からの質問に答えた後で釈放されたゼルナー氏は動画サイトへの投稿で、タラント容疑者から寄付を受けたこと、警察により自宅を強制捜索されたことを確認した。そのうえで「私はテロ組織のメンバーではない。この男(タラント容疑者)とは何のかかわりもない。向こうから寄付の申し出があり、それを受けただけだ」と強調した。
オーストリアのクルツ首相は27日の記者会見で、タラント容疑者とゼルナー氏との間につながりがなかったかどうか捜査していると発表。政権内でアイデンティタリアン運動そのものを解散させることも検討していると明らかにした。
同首相は「危険なイデオロギーが我が国にはびこるのを許すわけにはいかない。イスラムの過激主義だろうと狂信的な右翼思想だろうと関係ない」と付け加えた。