子どもたちの絵が示す心の傷 モザンビークのサイクロン被災地
(CNN) アフリカ南部モザンビークのサイクロン被災地で避難生活を送る子どもの精神状態に、国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン」が大きな懸念を示している。心の傷は子どもたちが描いた絵に表れている。
750人を超える死者を出したサイクロンから約1カ月。セーブ・ザ・チルドレンのチームは壊滅的な被害を受けたモザンビークの港湾都市ベイラを訪れ、避難施設の家族らから話を聞いた。
子どもたちにはサイクロン前後の自宅の絵を描いてもらったところ、人々が泣き叫んだり、水に流されたりする悲惨な描写が目立った。
10歳のファイザル君は、被災前に色鮮やかな自宅の前で遊ぶ自分の姿と、色を失った被災後の光景を描いた。泣きながら母親を呼ぶ子どもたちや、鉄板で首を切られた人物の姿がある。
10歳のファイザル君が描いた絵/Sacha Myers / Save the Children
現地で子どもたちの精神的支援に当たるセーブ・ザ・チルドレンの専門家は「親やきょうだいが水に流されたり、自宅が目の前で崩れたりする場面を見たという子どもは多い」「どの話も恐ろしいほど似通っている」と話す。住宅などを建て直す復興作業とともに、子どもや家族の心の健康をサポートする必要があると強調する。
11歳のイネスさんは、倒れた木に囲まれてたくさんの遺体が横たわる場面を描いた。「手をつなぎ合っていないと沼に落ちてしまう。私も落ちそうになった」と振り返る。
11歳のイネスさんが描いた絵/Sacha Myers / Save the Children
ある母親は、被災してから子どもがおねしょを始め、乱暴になったりべったりと甘えてきたりするようになったと話す。「子どもたちに子どもらしさがなくなり、大人のように振る舞うようになった」と語る母親もいた。
セーブ・ザ・チルドレンによると、サイクロンで被災した子どもは100万人近くに上り、その多くが劣悪な環境での避難生活を強いられている。同組織はモザンビークに支援チームを派遣し、被災者らに避難施設や食料、医療を提供しているという。