パキスタンでHIVの集団感染、1つの街で子ども含む681人
パキスタン・ラトデロ(CNN) 世界で6番目に多い2億人以上の人口を抱えるパキスタンで、HIV(エイズウイルス)の感染拡大が深刻化している。専門家からは、医師による注射針の使い回しが全国規模で行われていることを一因とする声が上がっている。
パキスタン当局は26日、過去2カ月の間に南東部シンド州にある人口33万人の街ラトデロで681人がHIVに感染したと発表した。このうち537人は2~12歳の子どもだという。
集団感染の不安が指摘され始めたのは4月から。CNNが地元保健当局の報告書を確認したところによると同月以降、ラトデロでは1万4000人を超える住民がHIVの検査を受けた。
感染者の拡大を受け、現地の医療機関には負担が集中している。保健省の高官は26日、首都イスラマバードで会見を開き「病院が患者であふれている」実態を説明した。
同高官はまた、パキスタンでの重大な問題として、使用済みの注射器が再度包装され、売りに出されていることに言及した。現時点で当局は、今回の集団感染の原因を特定していない。
パキスタンでは大人と子どもを合わせて15万人がHIVに感染していると推計されるが、世界保健機関(WHO)によれば、シンド州での集団感染以前、HIVの治療を受けている子どもの数は全国で1200人にとどまっていた。
今回、感染者のほとんどを幼い子どもたちが占めている点について前出の高官は、安全ではない注射器が原因である可能性が最も高いと指摘した。