香港政府、マスク着用禁止へ デモ参加者を牽制
香港(CNN) 香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は4日の記者会見で、公的な集会でのマスク着用を禁止する条例を5日から施行すると発表した。
香港では数カ月にわたり、若者を中心とした大規模デモが行われている。香港の民主化を求めるデモ参加者の大多数は、当局による個人の特定を逃れるためマスクを着用している。当局が使用する催涙ガスへの対処としてガスマスクや防塵マスクを着けた参加者の姿もよくみられる。
今回のマスク禁止条例の発表を見越して、香港中心部のビジネス街では数百人が行進し、条例への反対を叫んだ。今後さらなる抗議行動も計画されている。
林鄭氏は条例の制定について「必要な決断」と説明。「暴力に歯止めをかけ、可能な限り迅速に社会の平穏を取り戻すことが重要」としたうえで「新たな条例が、マスクを着けたデモ参加者や暴徒に対し抑止効果を発揮すると信じる」と述べた。
条例の制定にあたり、香港政府は「緊急状況規則条例」を発動する。これにより政府には、立法会(議会)の承認なく規則を制定する権限が与えられる。
同条例は、香港が英国の植民地だった1922年に導入された。発動されれば左派による暴動が起きた1967年以来となる。