世界の二酸化炭素排出量、今年も観測史上最高を更新
(CNN) 持続可能性を追求する国際研究チーム「グローバル・カーボン・プロジェクト」は4日、世界の二酸化炭素排出量が、今年も観測史上最高を記録するとの見通しをまとめた。壊滅的な気候変動を防ぐ対策のために残された時間は失われつつあると警告している。
同プロジェクトの報告書によると、石油や天然ガス需要に牽引(けんいん)される世界の二酸化炭素排出量は2019年、370億トンに達する見通し。
化石燃料からの排出量は、前年比で0.6ポイント増えると予想している。ただ、2017年の1.5ポイント増、18年の2.1ポイント増に比べると、伸び率は鈍化した。
しかしグローバル・カーボン・プロジェクト代表の米スタンフォード大学教授ロブ・ジャクソン氏は、「私たちが必要としているのは、排出量の伸びの鈍化ではなく、排出量の減少だ」と強調する。
このままでは、世界の気温上昇を1.5度未満に抑えるとした「パリ協定」の目標は達成できなくなる。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、この目標を達成するためには、二酸化炭素排出量を2010年のレベルに比べて2030年までに45%削減し、2050年ごろまでに「実質ゼロ」とする必要がある。
研究チームは、世界中でエネルギー政策や運輸政策、産業政策が劇的に変わらない限り、排出量は今後の10年間も増え続けるだろうと予想。ジャクソン氏は「我々の時間は失われつつある。何年たっても二酸化炭素の排出量は減る兆しが見えない」と危機感を募らせる。
今回の報告書は、スペインのマドリードで開かれている国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)に合わせて発表された。