新型コロナ対策で激増するプラスチックごみ、規制後退に懸念の声
各国が新型コロナウイルス対策に追われる中で、使い捨てプラスチック規制の中止や撤回も相次ぐ。
英国では鳴り物入りで導入されるはずだったレジ袋の有料化が見送られた。米国でもメーン州などで使い捨てプラスチック禁止が保留となり、スターバックスのような小売りチェーンは新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために再利用可能製品の禁止に踏み切った。
こうした風潮に対して世界銀行のエコノミスト、グルゼゴルツ・ペスコ氏は、「COVID―19の影響で潮目が変わり、使い捨てプラスチックへと向かいつつあるようだ」と警鐘を鳴らす。
3月にはプラスチック業界団体が米保健省に対し、「使い捨てプラスチックの健康上および安全上のメリット」について宣言するよう申し入れを行った。「使い捨てプラスチックが場合によっては最も安全な選択肢であることを、米国民や企業、政府が認識せざるをえなくなった」と同団体は主張する。
これに対して保護団体は、新型コロナウイルスがプラスチックの表面で長時間生存できるとした研究結果を引き合いに出して、反論している。
世界中で毎日、新型コロナウイルス関連のニュースが氾濫(はんらん)する中で、プラスチック規制が後退している現状が見過ごされかねないとマロス氏は危惧、「現時点ではそれほど重大なことには見えないかもしれないが、将来的に極めて危険な形で表れるだろう」と予想している。