医療崩壊目前のブラジル、危機訴える声も大統領は支持者と腕立て伏せ
サンパウロ(CNN) 新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからないブラジルの医療システムが崩壊の瀬戸際に立たされている。大都市の市長が患者への対応の「限界」に近づきつつあると公言する中、経済活動重視の大統領は都市封鎖に反対する集会に参加。支持者とともに腕立て伏せをするパフォーマンスを行った。
ブラジルは世界の主要国の中で今なお新型コロナの死者・感染者が増加傾向にある数少ない国のひとつ。医療システムにかかる負荷は深刻で、17日にはサンパウロ市長が、市民が相手との一定の距離を確保する感染拡大阻止の指針に従わなければすぐにも医療崩壊しかねない状況だと訴えた。
ブルーノ・コバス市長は記者団に対し、現時点で集中治療用のベッドの9割が埋まっていると説明。医療システムの限界に挑む事態になるか、社会的な隔離状態を維持してシステムの崩壊を食い止めるのか、決断を迫られていると強調した。
都市の封鎖措置に反対する集会で両手を振って支持者に応えるボルソナーロ大統領/SERGIO LIMA/AFP/Getty Images
その後は大統領への支持を表明したいと申し出た軍の落下傘部隊のメンバーと面会した。迷彩柄のパンツに黒いTシャツ、赤いベレー帽でそろえた隊員らと大統領は地面に両手をつき、腕立て伏せを数ラウンドこなした。
オンライン上に投稿した動画の中でボルソナーロ大統領は「結局のところ国民は自由を求めている。民主主義を望み、自らを尊重してほしいと願っている」と述べた。
アジアや欧州に比べるとブラジルは感染拡大の初期段階にあるにもかかわらず、米ジョンズ・ホプキンス大学が集計した新型コロナの感染者数ではイタリア、スペイン、英国を抜いて世界3位。死者数は1万6000人を超えている。