核兵器実験、現時点ではなし 米がロシアに伝達
ワシントン(CNN) 米国の核交渉担当のマーシャル・ビリングスリー大統領特使は24日、ロシアと今週開いた核軍縮協議で、トランプ米政権が「この時点」で核兵器実験を実施する特定の理由はないとの判断をロシア側に伝えたことを明らかにした。
記者会見で述べた。ただ、実験に踏み切る理由を見い出せば、その理由が何であれ、実施出来る能力を保持し続ける立場も示したとした。米国は1992年に核実験の凍結を決めていた。
米ロは今週、オーストリアの首都ウィーンで来年2月に期限が切れる新戦略兵器削減条約(新START)の延長問題などを含む協議を行った。
ビリングスリー特使によると、ロシア側は協議の席上で、米国が核実験を実施する可能性を質したという。ロシア側のこの問題提起は、米政府当局者が先月、核実験の是非を話し合ったとするメディア報道に基づいていた。
トランプ大統領は、ロシアだけでなく中国も含める核軍縮協定を最優先の課題と位置付けている。中国は軍縮交渉に加わる関心を示したとも主張しているが、中国は拒み続けている。
ビリングスリー特使はウィーンでの交渉への中国の参加で米国は説得に失敗したとの見方を表明。その上で、過去数十年の軍縮交渉や協定に基づいて達成された戦略的な安定性と安全を中国が頓挫(とんざ)させ、あるいはひっくり返すようなことは容認出来ないとも述べた。
中国は米国やロシアと比肩出来る核兵力の均衡を目指す核プログラムの下で急速な増強に関与しているとの批判もにじませた。