中国当局、カザフスタンで正体不明の肺炎流行と警告
(CNN) カザフスタンの中国大使館は9日、同国で正体不明の肺炎が流行し、年始からの死者数が1700人を超えたとの警戒情報を発出した。世界中で流行する新型コロナウイルスより致死率が高いとしている。
中国大使館は現地の中国人向けに出した声明で、カザフスタンの保健省を含む当局が調査を進めているが、肺炎ウイルスの性質が特定できていないと伝えた。
大使館によると、この肺炎は6月中旬以降同国各地で急増し、1日に数百人の増加が報告される地域もあるという。現地メディアの情報として、アティラウ、アクトベ、シムケントの3都市に新規患者が集中し、合わせて約500人が罹患(りかん)、30人以上が重体だと伝えた。
この肺炎による死者数は年始からこれまでに1772人に達し、うち628人は6月に亡くなったという。COVID―19(新型コロナウイルス感染症)よりも致死率がかなり高いとの情報も伝えている。
同国の通信社カズインフォルムは公式データを引用し、首都ヌルスルタンでは6月の肺炎患者数が昨年同月に比べて2倍以上になったと報じた。ヌルスルタンの保健当局トップが「毎日最大で200人が入院し、直近の数日間は肺炎と診断された患者が毎日300人ほど病院に搬送された。自宅で治療を受けている者もいる」と報告したとも伝えた。
中国大使館は現地の中国人に外出を控え、マスクの着用や消毒、頻繁な手洗い、室内の換気を実施するように注意を促している。
CNNは中国大使館が出した情報について独自に確認しておらず、カザフスタンの保健省に詳細を確認中。
カザフスタンでは新型コロナウイルスも流行している。米ジョンズホプキンス大学によると、これまでに5万3021人が感染し、264人が死亡した。カザフスタンの初代大統領で現在は同国国家安全会議議長を務めるヌルスルタン・ナザルバエフ氏も感染した。
当局は患者の急増を受けて、第2弾の全国規模での交通制限などを実施。中国国営新華社通信によると、国際航空便や州境を越える道路交通は認められていない。国内では文化・スポーツ施設、映画館などが閉鎖され、公務員の大半が在宅勤務となっている。医療関係者や病床数へのニーズも高まっており、状況が悪化すればさらなる制限が課される可能性もあるという。