給与不払いの抗議デモで7人死亡、新型コロナ禍で経済に打撃 イラク
アルビル(CNN) イラク北部スレイマニヤ県で、給与の支払いを要求する地域政府職員の抗議運動が激化し、これまでに少なくとも7人が死亡、12人が負傷した。イラクは新型コロナウイルスの影響で経済的混乱が深刻化している。
スレイマニヤ県の各地で6日から続く抗議デモでは、地元の治安部隊がデモ隊に発砲して6人が死亡。デモ隊との衝突で負傷した治安当局者1人も死亡した。
スレイマニヤ市内や近隣の都市では数百人が抗議運動を展開し、10月以来、給与が支払われていないと訴えている。同地のクルディスタン地域政府(KRG)は125万人以上の職員を雇用している。
ここ数日は、政府庁舎や政党の本部が相次いでデモ隊に放火された。目撃者などが匿名でCNNに語ったところによると、治安部隊は実弾や催涙弾を使ってデモ隊を解散させていた。
国連イラク支援ミッションは7日、同地の「暴力行為」を非難する声明を発表。「平和的に抗議する権利は守られなければならず、デモは平和的に行われることが不可欠だ」と指摘した。
イラクのサリフ大統領は、同地の状況を「深く憂慮」すると述べ、地元当局者に対してデモ隊の要求に耳を傾向けるよう促した。「そうした問題を暴力で解決することは大きな過ち」だと強調している。
サリフ大統領はまた、KRGに対し、「イラク連邦政府との間で、給与などの金銭的な支払いをめぐる包括的な合意に向けて取り組むよう」呼びかけた。
KRGとイラク連邦政府は、石油やガスの配分をめぐって長年の対立を続けており、新型コロナウイルス禍でその対立が一層悪化している。