中国がイスラム教徒少数民族に対して「ジェノサイド」 カナダ下院で動議採択
オタワ(CNN) カナダ下院は22日、中国が新疆ウイグル自治区でイスラム教徒少数民族に対しジェノサイド(集団殺害)を行っているとする動議を賛成多数で採択した。動議に法的拘束力はないが、2国間の関係は緊張が高まりそうだ。
カナダのトルドー首相や閣僚は今回の動議から距離を置いているが、動議は与党・自由党の議員も含めて多くが支持した。動議は野党・保守党が提起した。
動議では、中国共産党が現在、ウイグル族や他のチュルク語系のイスラム教徒に対してジェノサイドを行っているとし、2022年の北京冬季五輪の開催地の変更も呼び掛けている。
米政府の推計によれば、最大200万人のイスラム教徒少数民族がここ数年、中国政府によって新疆の収容所に拘束されている可能性がある。収容された経験のある人たちは洗脳や身体的な虐待、強制的な不妊手術の対象となったと主張している。
今回の動議はトルドー政権にとって、中国により強く対処することを求める圧力となりそうだ。カナダと中国との外交関係はここ数年、緊張が高まっている。カナダは米国からの要請で中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・最高財務責任者(CFO)を逮捕。中国はその後、カナダ人のマイケル・コブリグ氏とマイケル・スパバ氏を機密情報を盗んだ容疑で拘束した。
動議の採決には閣僚として唯一、ガルノー外相が出席したが、外相は「カナダ政府を代表して」棄権していた。
中国は、新疆でのイスラム教徒少数民族に対する人権侵害の申し立てについて、繰り返し否定している。