「ISISの花嫁」、国籍剥奪に異議唱える帰国認められず 英最高裁
(CNN) 英最高裁は26日、10代でシリアに渡って過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」の戦闘員と結婚した「ISISの花嫁」、シャミマ・ベグムさんについて、英国籍剥奪(はくだつ)に不服を申し立てるための帰国を認めない判断を示した。
ベグムさんは15歳だった2015年、シリアでISISに加わる目的で、学校の友人2人とともに英国を離れた。その後シリア北部の難民キャンプにいるところを発見され、19年2月19日に当時のジャビド内相によって国籍を剥奪された。
英控訴院は昨年、ベグムさんが不服申し立てを目的に帰国するのを認めるべきと判示。しかし最高裁のロバート・リード長官は今回、控訴院は四つの誤りを犯しているとして、その判断を覆した。
リード氏によると、控訴院の誤りの一つは、ベグムさんの公正な審理を受ける権利が他の競合する権利に優越すると判示したことにある。「公正な審理を受ける権利は、市民の安全といった他の考慮事項に優先するものではない」としている。
また控訴院は昨年の判決で、帰国以外の方法では「公正かつ実効的な審理」にならないことから、ベグムさんの英入国を許可すべきと判示していた。
リード氏はこの点について、控訴院は入国要件に関する内務省の判断を尊重していないと指摘。関連する証拠がないにもかかわらず、控訴院は「入国要件について独自の判断」を下したと述べた。
最高裁はまた、「市民の安全が損なわれることなく」ベグムさんが審理に参加できる状況が整うまで、国籍剥奪に対する不服申し立ては延期すべきとも判示した。「それがいつ可能になるのか不明なため完璧な解決策ではない」としつつ、「今回のようなジレンマに完璧な解決策は存在しない」と説明している。