中国メディアがファウチ氏を批判、ウイルス発生源にまつわるコメント受け
香港(CNN) 米国立アレルギー感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長が、中国国営メディアからの批判にさらされている。新型コロナウイルスの起源について、自然発生ではない可能性を示唆した発言が背景にある。
中国の国営紙「環球時報」の編集主幹は今週、オピニオン面の記事で「米エリート層の一段のモラル低下、ファウチ氏もその一人」との見出しを掲げ、同氏が「中国に対する大嘘を振りまいている」と非難。新型コロナウイルスが湖北省武漢の研究所から流出したとする言説をでっち上げているとの認識を示した。
同紙の別の記事では、ファウチ氏が「中国の科学者を裏切った」と断じている。
怒りの矛先が向いているのは、今月11日のシンポジウムでの発言だ。ファウチ氏は新型コロナの感染拡大について、もはや自然発生によるものだとの確信が持てないとコメント。「中国で何が起きていたのかを引き続き調査するべきだと思う。実際に起きたことが解明されるまで可能な限り調査を継続した方がいい」と語っていた。
ファウチ氏は当初、新型コロナの感染症は動物から人への感染の結果である公算が大きいとしていたが、上記のコメントはこうした見方からの転換をうかがわせる。
この後、米紙ウォールストリート・ジャーナルは米情報機関の報告書を引用し、武漢のウイルス研究所の研究員3人が2019年11月に体調を崩して病院の診察を受けたと報じた。中国側はこの報道を強く否定している。
昨年、ファウチ氏がトランプ前政権の新型コロナ対策を繰り返し批判した際には、中国国営メディアは同氏の職業意識の高さと真実を語る勇気を称賛する内容を盛んに報じていた。
ファウチ氏は25日、CBSの取材に答え、新型コロナの起源に関する自身の意見は変わっていないと強調。今でも自然発生したものである公算が「非常に大きい」と考えていると述べた。
取材したCBSの記者がツイッターに投稿したところによると、ファウチ氏は徹底調査にこそ前向きであるものの、ウイルスが最初に研究所で発生したと考えているわけではないと説明したという。
ただこのインタビューで同氏の中国でのイメージが回復するかどうかは明らかではない。