イラン製の新型ドローン、米軍施設への攻撃相次ぐ 監視を回避
ワシントン(CNN) バイデン米大統領は27日、イランの支援を受けるイラク・シリア国境の民兵組織への空爆を指示したが、これに先立ちイラクでは、イラン製の新型ドローン(無人機)による米軍施設への攻撃が相次いでいた。米当局者はこのドローンについて、米国の監視と防衛網をかいくぐることが可能との見方を示している。
米軍当局者によると、直近では今月前半、武装ドローンがバグダッド空港への進入地点にある食事施設で爆発。この進入地点は米国の兵士や外交官が使っていた。4月にも、イラク北部アルビル付近にある米中央情報局(CIA)の無人機格納庫でドローンによる被害が出ていた。
国防総省によると、米国が27日夜に実施した空爆では、シリアの2カ所とイラクの1カ所で作戦施設や武器貯蔵施設を攻撃した。目標選定の理由については、「イラクの米軍要員や施設に無人機攻撃を行うイランの支援を受けた民兵がこれらの施設を利用しているため」としている。
情報筋1人によると、空爆は当初、アルビルでの4月の攻撃の後に検討されていたが、延期となった。先週末、より精密なイラン製ドローン4機がアルビルを襲い、新しい米領事館の建設現場付近などを直撃したことで、改めて空爆実施が決まった。先週末の攻撃による米国人の死傷者は出ていない。
イラクに駐在する米情報機関員や軍要員はここ数カ月、こうした新型の高度なイラン製ドローンが米軍に及ぼすリスクに警鐘を鳴らしていた。こうした小型の固定翼ドローンの一部は、遠隔地の操縦士の誘導ではなくGPS(全地球測位システム)航法で動くため、米国の監視システムに映りにくく、電子妨害を受けづらくなる。
イラクでは米国人に対するロケット攻撃がほぼ日常化しているものの、こうした「自殺ドローン」とも呼ばれる新たなイラン製ドローンをめぐり、米情報機関員や軍要員からはイランの明らかな強硬化を示すものとの見方が出ている。情報当局者にとっては、イラク上空がもはや米国の独壇場ではないことを示す懸念すべき兆候でもある。
新たなドローン技術
新型ドローンのサイズはさまざまで、米軍当局者の1人によると、翼幅は約1.5メートルから3.6~4.5メートル程度までと幅がある。爆発物を大量搭載しており、大型のものになると最大30キロを搭載できる。
米国製の「MQ9リーパー」に比べればはるかに小型であり、攻撃力も低いが、現旧当局者によると、こうした新たなイラン製ドローンは固有の脅威を突き付けている。というのも、この技術を持つ勢力はイラン以外に知られておらず、イランが関与を否定するのは不可能だからだ。米当局者によると、より広く入手可能でイラク駐留米軍に発射されることが多い「カチューシャ・ロケット」とは異なり、これらのドローンの場合、イランがイラク駐留米軍の追放を試みる民兵組織に供与していることは疑いの余地がない。