北半球の各地で異常な熱波 死者相次ぎ山火事頻発、北極圏も猛暑
イラク当局は首都バグダッドを含む複数の州で7月1日を休日にすると発表した。気温が50度を突破して電力網が破たんし、暑すぎて仕事も勉強もできないという理由だった。
CNNの取材に応じた専門家は、こうした各地の異常気象がどう関係しているのかを正確に突き止めるのは難しいとしながらも、北半球の複数の地域が同時に熱波に見舞われているのは偶然ではなさそうだと指摘する。
政治家の間でも、気候変動が熱波や暴風雨などの異常気象を加速させているとの見方は強まっている。
米国のバイデン大統領は6月30日、「気候変動が猛暑と長引く干ばつの重なる危険な現象を加速させている」「勢力の強まった山火事は動きが早くなり、これまで山火事が発生していた月を越えて続くようになっている」と指摘した。
どの程度の気候変動が異常気象を引き起こすかを研究している英気象庁のニコス・クリスティディス氏は、カナダや米国の猛暑について「人間の影響がなければ、この地域で6月にこれほどの記録的な猛暑になるのはほぼ不可能だと思われることが分かった」と解説する。
クリスティディス氏によると、人間が発生させる気候変動がなかった時代は、米北西部やカナダ南西部が極端な熱波に見舞われるのは「数万年に1度」の現象だった。ところが今では約15年ごとに起こり得ると同氏は指摘、地球温暖化ガスの排出がこのまま続いた場合、2100年ごろまでには1~2年ごとの頻度になると予想している。