中国製ワクチンを使う国で感染拡大、必ずしもワクチンの失敗を意味しない理由<上>

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シノバック製ワクチンの接種を待つ人々=3月16日、インドネシア・バリ島/Johanes Christo/NurPhoto/Getty Images

シノバック製ワクチンの接種を待つ人々=3月16日、インドネシア・バリ島/Johanes Christo/NurPhoto/Getty Images

香港/モンゴル・ウランバートル(CNN) モンゴルでは病床がひっ迫している。インド洋の島国セーシェルでは毎日、100人以上の新型コロナウイルス感染者が新たに報告されている。チリでは先週、全国規模のロックダウン(都市封鎖)が解除されたものの、依然として1日あたり数千人の感染が報告されている――。

これらの国を結びつけるのは、主に中国製コロナワクチンで国民の半数以上への接種を完了したという点だ。これにより中国製ワクチンの有効性に疑念が生じる結果となった。

もし中国製ワクチンが効果を発揮していないのであれば、単に医療的観点にとどまらない大問題になる。中国政府は自国の名声を賭けて他国にワクチンを提供している。

欧米諸国が自国民用に備蓄を行うなか、中国は海外にワクチンを供給してきた。先月には中国外務省が、すでに80カ国以上に3億5000万回分あまりの新型コロナワクチンを配布したと発表。中国と主要民主主義国との緊張が高まっていた時期に、この作戦は欧米の取り組みの不十分さを浮き彫りにした。

シノファーム製ワクチンの接種準備をする中国の医療従事者/Sheldon Cooper/SOPA Images/LightRocket/Getty Images
シノファーム製ワクチンの接種準備をする中国の医療従事者/Sheldon Cooper/SOPA Images/LightRocket/Getty Images

中国シノファームとシノバックのワクチンの有効性に疑念が浮上したことで、中国のソフトパワー上の勝利は危うくなりつつあるが、中国外務省の汪文斌報道官は、こうした批判を「偏見を動機とする中傷」とはねつけている。

専門家からは、中国製ワクチンは一部のものほど有効でないかもしれないが、失敗ではないとの指摘が上がる。いかなるワクチンでも100%の予防効果はなく、接種後に感染する「ブレークスルー感染」は予想されうる事態だ。

専門家は、成功を測る重要な尺度は死亡や入院の予防であって、感染者ゼロを目指すことではないと指摘する。

なぜ接種済みの人が感染しているのか

中国はこれまで、シノファーム製とシノバック製の2つのワクチンについて世界保健機関(WHO)から緊急使用許可を受けた。どちらも不活化ウイルスを使って患者の体内で免疫反応を誘発するという、すでに十分試された手法を採用している。

一方、米ファイザーや米モデルナは「mRNA」と呼ばれるより新しい技術を活用する。これは免疫反応を誘発する「スパイクたんぱく質」の作り方を細胞に教える手法になる。

臨床試験(治験)では今のところ、シノファーム製とシノバック製はmRNAワクチンに比べ有効性が低いという結果が出ている。WHOに提出されたデータによると、ブラジルで行われた治験ではシノバック製の発症予防効果は約50%、重症化予防効果は100%だった。シノファーム製の有効率は発症予防、入院予防ともに推定79%だという。

一方、ファイザー・ビオンテック製やモデルナ製の場合、発症予防効果はどちらも90%以上に達する。世界規模で行われたジョンソン・エンド・ジョンソン製の有効性研究では、中程度から重症の予防効果は66%、重症の予防効果は85%、死亡の予防効果は100%だった。

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