陸上自衛隊、約30年ぶりの大規模演習 地域の緊張高まる中
防衛部隊の構築
北海道旭川市を拠点とする第2師団の隊員は防衛戦闘訓練を行うため、大分県の日出生台(ひじゅうだい)演習場まで約2000キロを移動した。
9月に到着した隊員らは数週間をかけ、補給エリアや指揮所、戦闘陣地、地下の緊急治療施設を設営。一部は地下に設けられているほか、いずれも偽装が施され、発見されにくくなっている。
自衛隊関係者によると、この訓練は特定の地域や国との紛争に備える目的で行われているわけではない。
ただ、日出生台の訓練環境は、日本南部の島しょで戦争が発生した場合に部隊が経験するであろう地形に近い。そうした島しょには東シナ海の無人島である尖閣諸島(中国名・釣魚島)も含まれる。尖閣諸島は日本の施政下にあるが、中国が領有権を主張している。
東京から1900キロ、上海からはその3分の1の距離にあるこの無人島をめぐる緊張は何年も続いている。領有権の主張は数百年前にさかのぼる。
岸信夫防衛相は最近、CNNに対し、尖閣諸島が日本の領土であることは議論の余地がなく、領土として防衛されると言及。「尖閣諸島は国際法的にも歴史的にも我が国固有の領土であり、尖閣諸島の領有権についての国際問題は存在しない」と述べた。
そのうえで「中国がこれまでも行ってきたことに対して、しっかりとしたメッセージを発信すること」が必要との認識を示し、「防衛省・自衛隊としても、我々の自らの防衛力をしっかり整備していくということをやっていかなければならない」と述べた。