北朝鮮が発射と主張の「極超音速ミサイル」、事実なら東アジア軍事情勢に変化も<上>

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北朝鮮が先月発射したと主張する「極超音速ミサイル」/Korean Central News Agency/Korea News Service/AP

北朝鮮が先月発射したと主張する「極超音速ミサイル」/Korean Central News Agency/Korea News Service/AP

香港(CNN) 北朝鮮が9月28日に発射したと主張する「極超音速ミサイル」は、世界でもっとも高速かつ正確な兵器の一つになる潜在力がある。専門家は、核弾頭を搭載できる可能性もあると指摘する。

北朝鮮の極超音速ミサイル「火星8」の正確な仕様は現時点では不明だ。ただ専門家によると、理論上、極超音速滑空体を備えたミサイルは音速の20倍のスピードで飛び、飛行中に非常に高い機動性を発揮することが可能で、迎撃はほぼ不可能になるという。

北朝鮮が極超音速兵器の生産と配備に成功すれば、東アジアの軍事情勢を変化させる可能性すらあると、アナリストらは指摘する。

「もし事実なら、韓国と日本のミサイル防衛システムは無力に近くなる」。こう指摘するのは、スイス・ウェブスター大学の助教で明治大学研究員も務めるライオネル・ファットン氏だ。

日本や韓国のシステムは、極超音速兵器よりもはるかに高高度から降下する弾道ミサイルへの防衛を念頭に設計されている。

シンガポール国立大学リークアンユー公共政策大学院の客員研究員を務める元国防総省当局者、ドリュー・トンプソン氏は「もし核弾頭が搭載されれば、高度なミサイル防衛システムをかいくぐれる極超音速ミサイルはゲームチェンジャー(情勢を一変させる兵器)になる」と指摘。一方で、「これは大きな『もし』だ。実際に保有することと、保有を望むことは同じではない」と注意を促した。

北朝鮮の国営朝鮮中央通信(KCNA)は、「戦略」兵器の開発は国防5カ年計画の最優先5大課題の一つだと報じた。

これについて、カーネギー国際平和基金に所属する核政策の専門家、アンキット・パンダ氏はツイッターで、「戦略的」という言葉の使用は核弾頭能力を暗に示すものだと指摘する。

全米科学者連盟の核専門家、ハンス・クリステンセン氏とマット・コーダ氏によると、北朝鮮はこれまで核装置を6回起爆させており、多数の核弾頭を保有しているとみられている。ただ、北朝鮮がミサイルに核弾頭を搭載して、目標まで運搬できるかどうかは不明だという。

KCNAの報道では、28日の実験は極超音速ミサイルとして初めてのものであり、成功したとしている。

北朝鮮が公開した写真1枚を調べた欧米の専門家は、この兵器には「極超音速ブースト滑空兵器」の特徴があると指摘した。

韓国軍は発射時のデータを分析した結果、このミサイルは開発初期の段階にあるとみられ、配備可能になるまで一定の時間がかかるとの見通しを示した。

韓国軍合同参謀本部は報道陣向けの声明で、北朝鮮のミサイルは依然として米韓両軍の装備により探知・迎撃が可能だと述べた。

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