陸上自衛隊、約30年ぶりの大規模演習 地域の緊張高まる中
南部の島しょでの訓練
第2次世界大戦後の日本の平和主義とは明確に異なり、日出生台演習場での戦闘訓練には台本なしの模擬戦争演習も含まれる。
陸自第2師団は敵の戦闘員を排除して救急治療を行うことを想定し、侵攻勢力と防衛勢力の2チームに分かれた。
現地の部隊は実弾ではなく、レーザーを発射する模擬兵器で武装。部隊の制服や戦車などの車両にはセンサーが取り付けられ、敵に殺傷された場合は通知を受ける。
この模擬戦闘訓練では、誰かが攻撃を受けた場合、戦場の隊員が応急手当てを施したうえで緊急治療施設に運ぶ。負傷した隊員はけがの深刻度に応じて、治療を受けて戦場に戻されるか、病院に搬送されて専門的な治療を受けるかが決まる。
宮古島や奄美大島、与那国島といった日本南部の島しょに訓練目的で配置されている隊員もいる。
横田氏は、南西地域への部隊の配置は陸上自衛隊の主要コンセプトだと述べ、自衛隊がどこでも必要な場所に部隊を配置することが重要だとの見方を示した。
日本にとって、こうした軍事演習の重要性はこれまでになく高まっている。
横田氏は、日本を取り巻く安全保障環境がかつてなく厳しくなっていることは認識していると説明。こうした情勢の中、自衛隊はあらゆる状況に対応する必要があるとの考えから、全ての不測の事態に備えていると述べた。
陸上自衛隊は1954年の創設以来、一度も実戦を戦っていないため、こうした訓練は隊員が経験する戦争に最も近いものとなる。一連の訓練は11月中旬に終了する。