大気中のCO2濃度、昨年も記録更新 世界気象機関の報告
ロンドン(CNN) 二酸化炭素(CO2)をはじめとする大気中の温室効果ガスの濃度は年々上昇を続け、昨年さらに観測史上最高値を更新したことが、世界気象機関(WMO)の新たな報告で明らかになった。
WMOが25日に発表した報告書によると、昨年のCO2濃度は産業革命前の149%を記録した。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で新たな排出量は一時的に減少したものの、大気中の濃度が過去10年間、次第に上昇してきた傾向に変化はみられなかった。
WMOのターラス事務局長は、このペースで温室効果ガス濃度が上がり続ければ、世界の気温は今世紀末までに、パリ協定が目標とした「産業革命前から1.5~2度までの上昇」というラインをはるかに超えることになると、改めて警告した。
ターラス氏によると、CO2濃度が前回同じ水準に達したのは300万~500万年前。当時の地球は現在より気温が2~3度、海面は10~20メートル高かったという。
CO2以外の温室効果ガスも、昨年の濃度はメタンが産業革命前の262%、一酸化二窒素が同123%と、いずれも観測史上最高の数値を更新した。
この報告を受け、英ロンドン大学のユアン・ニスベット教授は「温室効果ガスの測定値は自動車が衝突に向かってスリップしていくようなもの。災難はどんどん近付いてくるのに止めることができない」と指摘した。
地球温暖化を止める最後のチャンスとも位置付けられる第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)は、31日から英グラスゴーで開かれることになっている。