タリバン支配下のアフガン、司法外殺人の報告相次ぐ 国連が警鐘
(CNN) 国連は14日、アフガニスタン全土から司法外殺人の報告が相次いでいる実態について警戒感を表明した。殺害方法は首つりや斬首などで、遺体を公衆の目にさらしてもいるという。
ナシフ国連人権副高等弁務官は、スイス・ジュネーブで開かれた国連人権理事会で、「8月から11月までに寄せられた信頼に足る訴えによれば、アフガニスタンの治安要員や元政権関係者100人余りが殺害されている。このうち少なくとも72人はイスラム主義勢力タリバンが関与したとされる」と述べた。
タリバンは国連の見方を否定し、訴えについて「証拠がない」と強調。8月15日の恩赦の発表以降、危害を加えられた人は一人もいないと主張している。
タリバンの報道官はCNNの取材に答え、前政権の関係者であれ過激派「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」の協力者であれ、裁判なしで処罰したことはないと説明。前政権の関係者は全員がアフガン国内で普通に暮らしていると述べた。また人々が殺害されるのは、現在のアフガニスタンに対し、直接戦闘を行う場合のみだと付け加えた。
CNNは国連の発表を独自に確認していない。
国連のナシフ氏はさらに、アフガニスタンの人権状況について、女性の人権擁護に取り組む複数の人々がタリバンの政権掌握以降脅迫を受け続けていると指摘。暴力被害を受ける女性の報告も増加していると明らかにした。こうした女性らは、身の安全も法の正義も求めることができずにいるという。
また8月以降、少なくとも市民社会活動家8人とジャーナリスト2人が殺害されたと述べた。他にも素性の分からない武装した数人に襲われて負傷した人が複数いるとしている。