アフガンのカルザイ元大統領、タリバンとの協働を国際社会に呼び掛け
アラブ首長国連邦・アブダビ(CNN) アフガニスタンのハミド・カルザイ元大統領が、同国で暮らす数百万人もの人々を餓死から救うため、国際社会はイスラム主義勢力タリバンと協働するべき時だとの見解を明らかにした。
CNNのベッキー・アンダーソンによる独占インタビューでカルザイ氏は、国際社会はますます緊要となっている援助を同国の人々に届けることを優先し、今のところタリバンへの不信感は棚上げにする必要があると指摘。
「タリバンが今やこの国における事実上の支配者となっているということが、現場での現実だ」と述べた。
タリバンは今夏、迅速かつやや予想外の軍事的攻勢により同国を掌握。首都カブールは、最後の米軍部隊が同国から撤収した直後に陥落した。
世界の国々の大半は、かつてタリバンが1990年代に権力を握っていた時と同じような支配を繰り広げるのではないかとの危惧から、タリバンによる新政府を正式には承認していない。
ただカルザイ氏の現実主義は全ての立場で共有されているものではない。タリバンの手に資金が流れるのを防ぐため、世界各国は数十億ドル規模の援助や同国の国外資産を凍結。海外援助にすでに深く依存している同国を機能不全に陥らせている。
国連世界食糧計画(WFP)は、同国人口の半数が深刻な飢餓の危機に直面しており、5歳未満の子どもたち320万人が危険にさらされていると指摘。経済も失業のまん延や流動性危機に引きずられ、深刻な苦境に陥っている。
こうした状況を受け、国連安全保障理事会は22日、タリバンの手にわたることを防ぎつつアフガニスタンへの支援を促進する決議を採択。カルザイ氏は決議を歓迎し、「十分ではないかもしれないが、スタートにはなる」と語った。