有識者84%、今後3年の世界情勢は「悲観的」 世界経済フォーラム報告書

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新型コロナウイルスワクチンの接種に集まった人々=2021年7月、台湾/ Annabelle Chih/NurPhoto/Getty Images

新型コロナウイルスワクチンの接種に集まった人々=2021年7月、台湾/ Annabelle Chih/NurPhoto/Getty Images

ロンドン(CNN Business) 世界経済フォーラム(WEF)が世界のリスクを分析した新たな報告書で、今後3年間の世界情勢について、有識者の84%が悲観的な見通しを示していることが分かった。

WEFが発表した今年の「グローバルリスク報告書」によると、調査に応じた世界の有識者約1000人のうち、世界情勢に明るい見通しを示したのは12%、楽観的と回答したのはわずか4%だった。

調査対象は40%あまりが実業界、16%が行政機関、17%が学術界の各リーダーら。出身地域別では約45%が欧州、15%が北米、13%がアジアという内訳だった。

WEFによると、回答者の多くは今後3年間の世界について、不安定な情勢と突発的な出来事が続いたり、国家間の不均衡が拡大したりする結果、相対的な勝者と敗者が生まれることを予想している。

新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)が3年目に入ろうとするなかで、WEFは先月、変異株「オミクロン株」の感染拡大を理由に、今月予定していた年次総会(通称ダボス会議)を延期すると発表した。

報告書によれば、世界の人口全体のうちワクチン接種を済ませた人は約半数にとどまっていて、「ワクチン格差」が引き起こす経済回復のばらつきが、さらなる社会の分断や地政学的な緊張につながる恐れもあるという。

今後3年間で世界の経済回復が加速すると答えた人は、全体の11%にとどまった。中国以外の途上国は、先進国にますます大きく引き離されることになりそうだ。

さらに長期的な見通しでは、今後10年間のうちに世界を脅かす最大のリスクとして、気候変動が挙がった。上位にはほかに異常気象、生物多様性の喪失、社会的結束の希薄化、生活危機と感染症、さらに債務危機などが続いている。

WEFとともに報告書をまとめたチューリッヒ・インシュアランス・グループのピーター・ギーガー最高リスク責任者(CRO)は、政府や企業がリスクに対応する行動を起こし、エネルギー転換を主導するのは「今からでも遅すぎることはない」と強調した。

WEFによると、リスクは宇宙空間にも生まれている。宇宙での活動が加速すると衝突の危険が高まり、宇宙ごみが増えたり、人工衛星などの軌道に影響を及ぼしたりする。その結果、国際的な緊張が高まる恐れもあるという。

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