プーチン氏、欧米はロシアの懸念「無視」 米国の回答に言及
モスクワ(CNN) ロシアのプーチン大統領は1日、自身の安全保障上の要求に対する米国と北大西洋条約機構(NATO)の回答に言及し、現在内容を精査中だが、ロシア側の主な不満が「無視された」のは明白だと述べた。
プーチン氏はここ数週間、ウクライナ国境付近でのロシアの軍備増強をきっかけに発生した危機について公の発言をほぼ控えていた。
しかしプーチン氏はこの日、ハンガリーのオルバン首相との首脳会談後に記者会見を行い、「ロシアの基本的な懸念が無視されたのは既に明白だ。我々の3つの重要な要求に対して適切な考慮がなされていなかった」と述べた。
「3つの重要な要求」とは、NATOの拡大、ロシア国境への攻撃兵器システムの配備中止、欧州におけるNATOの軍事インフラをロシア・NATO基本議定書が調印された1997年の状態に戻すことに関するものだという。
プーチン氏はまた、米国はウクライナをNATOの活動の「道具」として利用することで、ウクライナ危機を巡る武力紛争に「我々を引き込もうとしている」と批判。米国の主な目的は「欧州の同盟国に非常に厳しい対ロ制裁を科すよう」強いること、あるいは「ウクライナをNATOに引き入れる」ことにあるとの見方を示した。
これに対し米国やNATOは、ウクライナなどへの東方拡大中止の確約を求めるプーチン氏の要求はNATOの門戸開放政策に違反しており、交渉の余地はないとしている。
プーチン氏はこの日の会見で解決策を提示しなかったものの、さらなる協議に前向きな姿勢は示した。
そして記者会見の締めくくりとして、NATOの「欺まん」の歴史について短く言及。NATO側が「1インチたりとも」東方に拡大しないと約束したと主張した。
ロシアの当局者は過去にも同様の主張を繰り返してきたが、米国とNATOはこうした約束をしたことを否定している。
緊迫するウクライナ情勢をめぐっては同日、ブリンケン米国務長官とロシアのラブロフ外相による電話会談も行われた。国務省当局者は会談後、ラブロフ氏はウクライナ国境の緊張を和らげる姿勢を示さなかったと述べた。