ウクライナ大統領「標的は自分」、ロシアが政府転覆狙っていると当局者
モスクワ、ウクライナ・キエフ(CNN) ロシアが24日に隣国ウクライナに陸海空からの前例のない攻撃を加え、西側諸国の首脳はロシアを非難しウクライナとの団結を誓う状況となっている。
ウクライナの閣僚らはロシアが「全面侵攻」してきたと発表。戦闘は欧州での第2次世界大戦や1990年代のユーゴスラビア紛争以来最悪と見られ、世界各地の株価も下落した。
攻撃や爆発は首都キエフを含めウクライナ各地で報告され、サイレンが24日の午前、午後とも鳴り響いた。ウクライナの内務次官はCNNに対し、ロシア軍がキエフを取り囲み、侵攻しようとしている様子だと語った。
ウクライナの当局者は、ロシアがウクライナ首脳部を打倒し、親ロシア派政権の樹立を計画しているとの考えを示す。
ウクライナのゼレンスキー大統領はビデオメッセージで、敵の破壊工作部隊がキエフに侵入したとの認識を示し、自身がその第1の標的、同氏の家族が第2の標的だと語った。
ゼレンスキー氏は「彼らは国家元首を倒すことで政治的にウクライナを破壊するのが目的だ」と述べ、自身は政府区画内にとどまっていると述べた。
ウクライナの民主政治はまだ維持されているが、緊急事態宣言が発令され25日から有効となる。
ゼレンスキー氏は24日、世界各国の首脳に支援を求める演説を行い、もしウクライナが支援を得られなければ「明日にはあなたの家に戦争がやってくる」と語った。
同氏によると、ロシア侵攻以降、暫定数値で兵士137人が死亡、316人が負傷した。
国家を防衛し、ウクライナ軍および他の軍編成の戦闘や動員準備を維持するため、ゼレンスキー氏は軍動員を命令した。国境警備隊によると、18~60歳の男性市民が出国を禁止された。
バイデン米大統領はロシアのプーチン大統領が「世界平和を支える核心的な原則を攻撃した」と述べ、「全世界がプーチン氏やクレムリン(ロシア大統領府)がどういう存在か目撃した」と語った。
バイデン氏は新たな対ロシア制裁を発表。ドルやユーロなどの重要通貨で商取引する能力を制限し、約1兆ドル(約115兆円)の資産を持つロシアの銀行を標的とする。
バイデン氏は「プーチン氏がこの戦争を選んだ。彼と彼の国は報いを受けることになる」とも語った。
北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長はウクライナ侵攻を「残忍な戦争行為」と呼び、無数の罪のない命をリスクにさらしたと述べた。
「我々の大陸での平和は打ち砕かれた。欧州で今、歴史になったと考えていたスケールと形式で戦争が起きている」「NATOはロシアのウクライナ侵攻を可能な限り最も強い言葉で非難する。国際法のあからさまな違反であり、独立した平和な主権国家に対する侵略行為だ」とも述べた。
NATOは東の境界線の陸海空の戦力を増強させると発表した。
ロシアが侵攻の理由を並べる
プーチン氏はウクライナとの国境地帯に15万人規模の兵を配置し、国際社会にナイフを突きつけてきた。
プーチン氏はこれまでウクライナ侵攻の計画を繰り返し否定したが、24日朝のテレビ演説で、ウクライナ東部ドンバス地方で軍事作戦を実施すると発表。ドンバス地方は21日にロシアが独立を承認した「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の領域を含む。
プーチン氏は今週早く、軍に「平和維持部隊」としてこの領域に進出するように命じていた。
クレムリンのペスコフ報道官は記者団に、ウクライナの「武装解除と非ナチ化」がロシアの軍事行動の目標の一つだと述べた。
ペスコフ氏は「理想的には、ウクライナが解放され、ナチスやナチス支持の人々や思想が排除されることだ」と話したが、ウクライナの体制変更を意味するのかとの問いには答えなかった。ウクライナを「非ナチ化」するという主張はプーチン氏も何年も繰り返し唱えてきたもので、根拠を欠いている。ゼレンスキー大統領はユダヤ人でもある。
プーチン氏はウクライナ軍に武器を置いて家に戻るように求めるとともに、起こり得る流血の惨事の責任はウクライナ政府の良心にかかっていると述べた。
「我々の計画はウクライナの占領ではない。誰にも我々を押し付ける計画はない」としつつ、「我々を邪魔しようとする者、我が国に脅威を生み出そうとする者はなおのこと、ロシアの対応が即座に、あなたがたの歴史で経験したことがないような結果をあなたにもたらすことを知ることになる」と述べ、ウクライナ側に立って介入しようとする者を脅した。