「食料も水も電気も医療もない」、子ども病院攻撃のマリウポリで深まる窮状 ウクライナ
ウクライナ南部ミコライウにいるCNNスタッフは、空爆警報のサイレンが鳴り響く中、病気の子どもたちを含む患者が、病院の地下の防空壕に避難する現場を目の当たりにした。
大きな包帯を巻いた12歳のスタス君はその時、病院で父親が自分に付き添っていないことを知らなかった。父親はスタス君の母親と姉妹を埋葬していた。「僕が近所の家の地下室にいた時に、僕がいた側の屋根に爆弾が当たった。僕たちはおばあちゃんの家まで走った。そこにも爆弾が当たって、僕の腕が折れた。お父さんと近所の人が僕をここに連れてきた。僕は2日間、意識がなかった」。スタス君はそう語った。
ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は9日深夜のビデオ演説で、マリウポリの病院空爆を「残虐行為」「ウクライナ人に対するジェノサイド(集団殺害)の証拠」と非難した。
一方、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は10日、空爆したマリウポリの病院は過激派「アゾフ連隊」の拠点だったと根拠を示さないまま主張し、患者や看護師は全員が退避したと語った。ロシア国防省報道官はその後の記者会見で、ロシアによる産科病院爆撃を全面的に否定して、これは「挑発」だと述べた。
ラブロフ外相は、この攻撃については国連安全保障理事会で数日前に予告したと説明している。アゾフ連隊はウクライナ軍に組み込まれているが、かつては独立した超国家主義の民兵組織だった。