「食料も水も電気も医療もない」、子ども病院攻撃のマリウポリで深まる窮状 ウクライナ
赤十字国際委員会(ICRC)は10日、マリウポリの状況について「ますます悲惨で絶望的」になりつつあると指摘。「何十万もの人たちが、食料も、水も、暖房も、電気も、医療もない」状況に追い込まれ、「暴力からの解放と人道支援を緊急に必要としている」と訴えた。
「商店や薬局は全て4~5日前に略奪された。まだ食べ物が残っている人もいるが、あとどれくらい持つのか分からない」。ICRCのサーシャ・ボルコフ氏は9日に収録されたインタビューでそう伝えている。
マリウポリでは多くの人が、子どもに食べさせるものがないと訴えているという。「人々が食べ物をめぐって互いを攻撃し始めた。ガソリンを抜き取るために他人の車を壊し始めた」(ボルコフ氏)
AP通信のカメラマンが撮影した写真には、9日にマリウポリ市内で遺体が集団埋葬される様子が写っている。一部は遺体袋に入っていたが、毛布にくるまれただけの遺体も多い様子だった。
市長側近は9日、ロシア軍の侵攻が始まって以来、マリウポリでは少なくとも1300人の民間人が殺害されたと述べた。CNNではこの犠牲者数について確認できていない。
マリウポリとボルノバーハは完全に封鎖された状態となっている。ウクライナは、ロシア軍が停戦合意に違反したと訴えている。
ウクライナ政府は10日、国内の複数カ所で避難回廊を開くと発表した。現地時間の午前10時現在、市民を安全な地域へ脱出させるための回廊について、ロシアや国際人道支援団体との合意が成立したのかどうかは分かっていない。