北東部スムイに市民脱出の「人道回廊」、難民200万人超 ウクライナ
(CNN) ウクライナ北東部のスムイで現地時間の8日、住民を脱出させるための「人道回廊」が開かれ、緊迫した状況の中で住民がバスや車で避難した。当局によると、この前夜にはロシア軍による空爆で、子ども2人を含む21人が死亡していた。
ウクライナ当局は、数日にわたってロシア軍の攻撃が続いた後、8日午前にスムイの避難回廊が開かれたことを確認した。国連によると、ロシア軍のウクライナ侵攻が始まった2月24日以来、ウクライナから避難した人は200万人を超えている。
合意に基づき停戦は現地時間の同日午後9時まで継続され、その時刻の1時間半前に最終避難が行われる。避難にはバスが使われ、約160キロ離れたウクライナ中部ポルタワまで住民を移動させる。ポルタワの首長が同日、テレグラムで明らかにした。
スムイの首長によると、スムイ近郊で起きた銃撃によって遅れが出た車列もあった。しかし同首長は地元メディアに対し、ロシア軍が車列に発砲したわけではないと説明。「今は市民が自分たちの車で避難している。19時半以降は検問所が閉鎖され、スムイからの脱出は不可能になる」とテレグラムに書き込んだ。
ロシア軍の攻撃がやんでいる間の脱出は、他都市では実現していない。各地の当局者はここ数日、ロシアか同盟国のベラルーシにつながる非現実的な避難ルートをロシアが提示し、停戦合意を破って市民に発砲していると非難していた。
ウクライナのドミトロ・クレバ外相は8日、ロシア軍が包囲した南部のマリウポリで市民30万人を「人質」に取り、子ども1人が脱水のために死亡したと語った。
ウクライナ当局は、マリウポリに人道支援物資を届ける車列が8日に銃撃を受けたようだと説明。ウクライナ軍合同作戦本部は、ロシア軍が子どもや女性、高齢者のマリウポリ脱出を許さず、人道回廊の方角を「正確に」狙って攻撃を仕掛けたと述べている。
CNNは車列の状況を確認できておらず、ロシア側の反応について取材を申し入れている。