ロシア軍包囲の都市で市長が拘束、ウクライナ政府は「戦争犯罪」と糾弾
(CNN) ウクライナ外務省は12日までに、強い表現を用いた声明をフェイスブックに投稿し、同国南東部メリトポリの市長が武装した人々に拘束された件について「戦争犯罪」だと糾弾した。
CNNはこれに先立ち、メリトポリのイバン・フェドロフ市長が11日、動画の中で市内にある政府の施設から武装した人々によって連れ去られていると報じていた。その後まもなく、ロシアの支援を受けたルガンスクの地方検察は、フェドロフ氏がテロ犯罪を遂行したと主張。現在取り調べ中だと発表した。
フェイスブックに投稿した声明の中で外務省は、フェドロフ氏の拘束を「拉致」と形容。「国際人道法を含む国際法の原則と規範に対する言語道断の違反」と断じた。こうした違反はこれまで数多く行われており、今回の件もその一つだと指摘した。同時にこれはロシア軍による戦争犯罪であり、人道に対する罪であり、その他の人権侵害にも該当すると強調した。
外務省によると、ジュネーヴ諸条約および追加議定書は、フェドロフ氏のような民間人を人質に取るのを禁じている。
ロシアによる侵攻以降、ウクライナの政治当局者がロシア人もしくはロシアの支援する部隊により拘束され、取り調べを受けるのは今回のフェドロフ氏の事例が初めて。
ルガンスクの検察のウェブサイトに掲載された文言によると、フェドロフ氏に対しては犯罪集団の一員として、テロ活動への援助と資金提供を行った疑いがかかっている。
同検察はフェドロフ氏が「右派セクター」と呼ばれる組織のメンバーだと主張。CNNは以前この組織について、ウクライナ人の民族主義者からなる準軍事的かつ政治的グループとしてウクライナ国内で活動していると報じた。
ルガンスクの検察は、右派セクターがウクライナ東部のドンバス地方で市民に対しテロ行為を働いたと主張するが、詳細は明らかにしていない。
地元メディアはメリトポリ市議会への取材から、動画中の連れ去られた人物がフェドロフ氏だと確認した。
CNNは動画の撮影地と信憑(しんぴょう)性を確認したが、フェドロフ氏の弁護士については特定できていない。
ウクライナ外務省は声明で国際社会に対し、フェドロフ氏を初めとする民間人の「拉致」への迅速な対応を求めた。そのうえで実行犯らはこのほかの犯罪行為も含め、厳しく責任を追及されることになると述べた。