戦争でペットも「難民」に 飼い主と離れ離れ、増え続ける保護犬や保護猫
ホールにはほかにも犬や猫たちがたくさんいた。ほとんどは、戦場となったウクライナから戻ったトラックで到着したばかりだった。
施設の別の部屋では幼い少女が「サーシャ」という名の小さなヤギを抱きかかえていた。サーシャは脚に深刻な問題があり、ADAの獣医師の手当てを受けて、両方の前脚に包帯が巻かれていた。
別の医師はこのヤギについて、「ウクライナの女性が自分と一緒に連れてきた。もしウクライナに取り残されていれば、乳が飲めなくて餓死していただろう」と説明する。
医師によると、飼い主の女性はウクライナの戦争から逃れ、サーシャをこの施設に預けたという。立ち去る前にサーシャをあやしながら、まず自分の滞在先を見つけなければならないので、一緒に連れて行くことはできないと言っていた。それでもきっと、サーシャのために戻って来るからと言い残して、立ち去った。
「女性は、この子を心から愛している、この子は家族の一員だと言っていた。戦争が終わったら返してあげたい」と獣医師は話す。
ADA財団によると、餌は十分足りているものの、それ以外は動物たちの保護のための医療機器や医薬品、輸送のための資金など、あらゆる援助を必要としているという。
英ロンドンや米フロリダ州に拠点をもつ慈善団体の「ネットワーク・フォー・アニマル」などは、ADAのような保護施設を支援しようとしているが、助けを必要としている動物の数はあまりに多い。獣医師たちはほとんど睡眠も取らずに昼も夜も働き続けている。
それでもスタッフには、戦争から逃れてきた動物たちの面倒は見るべきだという信念がある。「みんな家族の一員だから」とコトビッチ医師は話した。