代理母の産んだ新生児21人、戦場と化したキエフの地下施設で過ごす
ウクライナは営利目的の代理出産を法律で禁じていない。他国に比べ各医院の設定する価格が低いこともあり、近年の代理出産の需要は堅調だった。
当該のセンターの運営に携わる医師のイホール・ペチェノガ氏によると、代理母となった女性には1万7500~2万5000ドル(約206万~295万円)が支払われる。
戦争勃発を受け、センターは代理出産プログラムを停止。現在妊娠中の女性の支援と新生児を安全に国外へ連れ出すことに注力している。センターが新生児らを比較的安全なウクライナ西部に移動させようとするのは可能だが、親たちは法律上の理由からウクライナ国内で赤ちゃんを引き取らなくてはならない。子どもを望む気持ちの強い親たちは当然のように入国するが、中には戦争を恐れてためらう親たちもいる。
センターでは6人の乳母が21人の新生児の面倒を見る。爆弾の着弾地点が建物に近づく中、乳母らは紛争の進展について一段と不安を募らせている。
乳母の1人、アントニーナ・ヤフィモビッチさん(37)は、室内の恐怖と不安を赤ちゃんも感じ取っていると話す。
乳母たちはキエフを去る機会を与えられたものの、赤ちゃんを見放したくないという理由からこれを拒否。ヤフィモビッチさんの母と夫、2人の娘はすでにキエフを後にし、現在は190キロ以上離れたところにいる。
この赤ちゃんたちを見捨てるわけにはいかないと、ヤフィモビッチさんは続ける。「赤ちゃんは無防備で、世話を必要としている。親たちに早く引き取りにきてほしいと本当に願っている」