北のミサイル試射、ICBM級の可能性 2017年以来か
韓国・ソウル(CNN) 北朝鮮が24日に発射したのは大陸間弾道ミサイル(ICBM)だったとみられる。事実であればおよそ4年ぶりで、西側の首脳らが安全保障のための会合を開催するタイミングでの発射となった。
防衛省はICBMとみられる今回のミサイルについて、発射後高度6000キロに達し、1080キロの距離を飛行。飛行時間は71分で、北海道渡島(おしま)半島西方沖の日本海に落下したと推定した。
北朝鮮によるミサイル発射は失敗に終わったとみられる16日の発射を含め、今年11回目。専門家によれば今回のミサイルは射程距離が最も長く、2017年11月に発射した前回のICBMを上回る可能性があるという。
鬼木誠防衛副大臣は同日、記者団に対し、ミサイルの高度から見て「新型のICBM級」と考えられると指摘した。これは北朝鮮が米国本土を標的とし得る兵器の開発に近づきつつある状況を示している可能性がある。
米国は同盟国の日本や韓国とともに、発射を強く非難。北朝鮮に対し、これ以上地域を不安定化させる行動を取らないよう求めた。
米国のバイデン大統領は現在訪問先のベルギーで、岸田文雄首相とともに主要7カ国首脳会議(G7サミット)に出席している。
韓国・ソウルの梨花女子大学校で国際問題を研究するリーフエリック・イーズリー准教授は、CNNの取材に答え「北朝鮮は無視されるのを拒み、世界がウクライナでの戦争に気を取られているのを利用しようとしているのかもしれない。そこには核保有国としての地位にまつわる既成事実を強化する意図がある」と分析。
ロシアのウクライナ侵攻ほどの規模で他国への武力侵略に踏み切ることは考えられないとしながらも、北朝鮮政府の野心は自国の防衛にとどまらず、アジアにおける冷戦後の安全保障秩序の転覆を狙っていると述べた。
ICBMとみられるミサイルの試射を受け、韓国軍も警告のためのミサイルを複数発射した。韓国軍合同参謀本部が記者団向けのテキストメッセージで明らかにした。こうした対応を取るのも17年以来となる。