「四月の声」で上海住民が語る窮状、ネット検閲に反発も

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ロックダウン(都市封鎖)が行われている中国・上海市の様子=17日/Hector Retamal/AFP/Getty Images

ロックダウン(都市封鎖)が行われている中国・上海市の様子=17日/Hector Retamal/AFP/Getty Images

香港(CNN) 生活必需品を求める住民の叫び声。隔離されて親と離れ離れになった赤ちゃんの泣き声。重病の父親の治療を病院に何度も拒まれた息子の懇願。上からの政策が良くないと疲れ切った様子で住民に説明する自治体職員のすすり泣き――。

そんな苛立ち、苦悩、絶望がこもる生々しい声を収録した動画「四月の声」は、1カ月近くもロックダウン(都市封鎖)が続く中国・上海の過酷な現実を見せつけた。

全市的なロックダウンは、かつて世界金融の中心地として輝いた大都市を、事実上のゴーストタウンへと一変させた。2500万人の住民の多くが自宅に閉じ込められ、食料も、生活必需品も、医療さえも手が届きにくい状態に追い込まれている。

対話アプリ「微信(ウィーチャット)」に22日投稿されたこの動画の制作者は言う。「上海の流行が始まってから1カ月。多くの人がオンラインで声を上げるのを見てきた。だがそのほとんどは、すぐに消滅した。だが起きてはならないことや、忘れてはいけないこともある」

住民自身の声で語られる窮状に、静まり返った高層ビル群や人通りが途絶えた通りを上空から撮影した白黒映像が重なる。この光景は中国で何百万人もの心を打ち、動画は22日夕までに、瞬く間にSNSで拡散した。

しかし混乱と苦悩を露呈させ、「ゼロコロナ」政策の人的代償を印象付けるこの6分間の動画は、中国政府にとっては強烈過ぎた。たちまち検閲が入り、この動画も、動画へのリンクも、中国のインターネットから削除された。SNS大手の「微博(ウェイボー)」では、「四月」という単語さえも一時的に制限された。

この検閲に対しても非難が噴出した。ロックダウンの過酷な現実を客観的に記録した内容(国営メディアではほとんど伝えられない)を、政府がかき消そうとしているとして憤りが強まった。

検閲に反発するユーザーは、SNSをリレーでつなぎ、思いつく限りのあらゆる方法を使って検閲をかわしながらこの動画を共有した。動画をさかさまにしたり、アニメ動画に取り込んだり、QRコードやクラウドサービス経由で流通させたユーザーもいた。これに追いつこうとする検閲側は苦慮していた。動画の一方のバージョンをブロックすると、すぐに別のバージョンが浮上。このいたちごっこは23日に入るまで続いた。

2012年の映画「レ・ミゼラブル」で民衆が蜂起する場面に使われた合唱曲「民衆の歌」までもが共有された。

市民の憤りが噴出する状況に、2年前、李文亮医師が亡くなった時のことを思い起こす人も多かった。李医師は中国・武漢で新型コロナウイルスに警鐘を鳴らして警察に摘発され、新型コロナのために死亡した。

李医師のウェイボーのページには23日未明、「彼らは今も私たちの口をふさぎ、耳をふさごうとしている」というコメントが寄せられた。

上海の住民は、政府の厳格な新型コロナ対策に対する不満を強めている。他都市も恐怖に駆られながら、SNS上で展開する事態を見守っている。

それでも上海当局は規制を緩めるどころか、隔離施設以外での症例数をゼロにしようと躍起になり、ますます規制を強化している。

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