上海に続き北京も一部ロックダウン、中国全土で1億6500万人に影響
3月には上海市内の病院に勤務する非番の看護師が、消毒のために閉鎖された勤務先の病院への緊急入院を拒まれて死亡した。今月初めには、陽性と判定された飼い主のペットのコーギー犬を保健職員が撲殺。先週は、職員が未明に92歳の女性の自宅に押し入って隔離施設に強制的に入所させたと伝えられた。
そうした情報は中国のSNSで拡散され、憤りの声が広がる異例の事態となっている。同じような報告は他都市でも相次ぐ。
北京はまだ、高リスクと指定された地域以外で住民の移動が制限される事態にはなっていない。しかし住民の多くはロックダウンが広がることを恐れてパニック買いに走り、スーパーマーケットには長蛇の行列ができた。
ロックダウンや移動制限の影響は、特に上海や深センといった経済中心地に打撃を与えている。
3月の失業率は21カ月ぶりの高さに上昇。自動車メーカーのフォルクスワーゲンやテスラ、アップルのiPhone(アイフォーン)を製造するペガトロンなどは操業停止に追い込まれた。中国の通貨、人民元は今週、2020年11月以来の水準にまで急落した。
中国指導部が神経をとがらせる兆しは見えている。習近平(シーチンピン)国家主席は26日、成長を促進するためインフラ投資に総力を挙げるよう指示した。具体的な経済計画を自ら打ち出すことがほとんどない習主席にとっては異例の発言だった。