大気汚染などの公害、世界の死因の6分の1 国際委員会
19年までの4年間で公害による死者の多さは改善されず、病気や早期死亡を招く最大の環境リスクになっていると、研究チームは主張する。各国や国際レベルでの対策が講じられないまま、事態はさらに悪化しているという。
公害対策に重点を置く余裕のないインドやナイジェリアなど、低中所得国での早期死亡が全体の9割以上を占める。だが共同執筆者で国際NGO「健康と汚染に関する世界同盟(GAHP)」事務局長のレイチェル・クプカ氏は、「公害が地球全体の脅威であること、その原因や拡散、健康への影響が国境を越え、地球規模の対応を必要としていることは明らかだ」と強調する。
有毒な物質を含む泡が浮かんだ川=2022年1月24日、インド首都ニューデリーのヤムナ川/Pankaj Nangia/Anadolu Agency/Getty Images
19年に大気汚染関連の死者が最も多かった国はインドで、160万人を超えた。同国のほぼすべての都市で、汚染レベルは世界保健機関(WHO)の基準を大きく超えている。
一方、アフリカでは衛生環境の改善や抗生物質の普及により、水質汚染や不衛生な習慣など、昔ながらの原因による死者が減少した。一方、多くの国では経済成長の結果、都市化が進み、大気汚染による死者が増え始めている。
同委員会は8つの提言として、各国政府の公害対策予算を拡充し、データ収集活動を強化し、公害問題についても「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」のような組織を設けるなどの行動を呼び掛けている。