独国会、元首相への「処分」発表 ロシア企業との関係維持で
(CNN) ドイツ国会の予算委員会は26日までに、社会民主党(SPD)政権をかつて率いたゲアハルト・シュレーダー元首相(78)がロシアによるウクライナ侵攻後もロシア企業との関係を断絶していないなどして同氏が国会内に維持する事務所の閉鎖を求める処分を下した。
ウクライナ侵攻後、プーチン大統領との長年の密接な個人的な関係が指摘されるシュレーダー氏は、ロシア国営の石油最大手ロスネフチとの関係を維持するなどして国内で批判を浴びていた。
ドイツ国会は公式サイト上で、シュレーダー氏の元首相としての特権を剥奪(はくだつ)すると発表。ただ、年金受給や個人的な警護措置を受ける資格に変更はないとした。
シュレーダー氏は1998年から2005年まで首相に在任。ウクライナ侵攻を受け、同氏はロシアとの経済的かつ政治的な結び付きを断ち切っていないとして制裁の対象にすべきとの要求が欧州連合(EU)の欧州議会内でも出ていた。
欧州議会は、EUの制裁対象は主要なロシア企業の役員を務め、「ロシアから報酬を受け続けている政治家らにも及ぶべきだ」との決議も採択。
決議では、オーストリアのシュッセル元首相やフランスのフィヨン元首相がロシア企業の役員職から退いた事例に言及。その上で、オーストリアのクナイスル元外相やシュレーダー氏も追随するように強く促していた。
シュレーダー氏は今月19日の時点で、ドイツとロシアを結ぶ海底ガスパイプライン「ノルドストリーム」の運営会社の役員を務め、ロスネフチでも重職に就いていた。ロシアの国営ガス企業「ガスプロム」の幹部職にも近く就任する予定との情報もある。
ドイツのショルツ首相は今年3月、シュレーダー氏に対しロシア国営企業での数多くの役職を退任するよう要請。公的な利益に関わる問題とも説いてもいた。
ドイツ国会では今年3月初旬、シュレーダー氏に近い関係者がロシア事業との関係を切断しないことに反発して辞任する事態も生じていた。
SPDは現在、ドイツの連立政権を主導している。