気候危機の費用、20年間で9倍超に増加 援助国の支援追い付かずと報告書
(CNN) 気候危機が急加速する中、異常気象による緊急事態に直面したコミュニティーの支援に必要な金額はこの20年間で800%以上も増加したことが、最新の調査で明らかになった。
7日にオックスファムが公表した報告書によると、異常気象関連の国連人道資金の必要性が20年前よりも急速に高まっているだけでなく、援助国の支援が驚異的な気候危機の費用に追い付いていないことが判明した。
2021年、異常気象災害の経済的負担は全世界で約3290億ドル(現在のレートで約44兆円)にのぼった――これは過去3番目に高い数字で、同じ年に富裕国から貧困国に提供した総支援金のほぼ2倍にあたる。
00~02年、国連は異常気象災害後の人道活動で毎年平均16億ドルの資金が必要とした。19~20年に必要とされた金額は1年あたり平均155億ドル――800%以上も増加した。
さらに気候変動を原因とする災害の対応に必要な資金のうち、援助国から提供されている資金はわずか半分だ。
「気候変動は害を及ぼしている。今後も被害を出し続けるだろう。黒人や先住民、有色人種やその他の脆弱(ぜいじゃく)な地域が真っ先に、もっとも甚大な被害を受けている――生計や文化、医療、生活様式を崩壊させている」。オックスファム・アメリカの気候変動政策上級顧問のラッセル・アームストロング氏はCNNにこう語った。
「気候変動による経済的負担は全世界で推定3000億~5000億ドル、化石燃料への政府の補助金とほぼ同額であるにもかかわらず、解決策を求める声には耳を傾けてもらえない」
17年以降、気候変動の原因を生み出している先進国のうち、こうした国連の人道支援の呼びかけに応じているのは約54%で、330億ドルの赤字が生じている。