プーチン氏、欧米を痛烈批判 「一極世界の時代」の終焉を宣言
(CNN) ロシアのプーチン大統領は17日、「サンクトペテルブルク国際経済フォーラム」で欧米諸国を痛烈に批判する演説を行い、「一極世界の時代」の終わりを宣言した。
プーチン氏は演説で「米国は冷戦に勝利したとき、自分たちは地上における神の代理人であり、何の責任も負わず国益のみを有する国民だと宣言した。そして、こうした国益は神聖なものだと宣言した」と指摘。いまや国際関係は一方通行となり、世界の不安定化を招いているとの認識を示した。
演説は「大規模な」サイバー攻撃のため予定から1時間半あまり遅れた。ロシア大統領府のペスコフ報道官は急きょ開いた記者会見で遅延の理由を説明し、会議のシステムに対しDDoS(分散型サービス妨害)攻撃があったと説明した。
誰が攻撃に関与したのかは不明。ハッカー集団の「ウクライナIT軍」は今週、SNSのテレグラムで、サンクトペテルブルク国際経済フォーラムを標的として名指ししていた。
毎年恒例のフォーラムでの演説は、プーチン氏が約4カ月前にウクライナ侵攻を命じて以降で最も中身のあるものの一つであり、世界が同氏の思考を垣間見る機会になるとみられていた。
プーチン氏は登壇するなり、前置きなしに米国やその同盟国への批判を展開。「彼らは妄想にとらわれ、過去の中に自分たちだけで生きている。自分たちが勝ったのだから、あとは全て植民地、裏庭だと考えているのだ。そこに暮らす人々は二級市民だと」と指摘した。
ロシア政府がウクライナに対する戦争を指して使う「特別作戦」にも触れ、「欧米がすべての問題をロシアのせいにする好機になった」と指摘した。食料価格の高騰についても、「米政権と欧州の官僚」に責任を転嫁しようとする姿勢を示した。
プーチン氏はこれまで、ウクライナ侵攻の決定について、ウクライナが欧米と外交・安全保障上のつながりを強めていることへの対抗措置と位置づけてきた。先週には、ウクライナでの戦争の目的はロシアを帝国として復活させることにあると示唆していた。