NATO、フィンランドとスウェーデンを正式に「招待」
マドリード(CNN) 北大西洋条約機構(NATO)は29日、スウェーデンとフィンランドをNATO加盟に正式に招待した。NATOにとって歴史的な拡大であり、ウクライナでの戦争を続けるロシアのプーチン大統領の狙いを真っ向からくじく結果になった。
前日にトルコが両国の加盟への反対を取り下げたことで、NATOにとってここ数十年で最も重要な拡大への道が開かれていた。
NATOの声明では「フィンランドとスウェーデンの加盟は両国をより安全にし、NATOをより強力にし、欧州・大西洋地域の安全保障を強化するだろう。加盟手続きの期間中も含め、フィンランドとスウェーデンの安全保障はNATOにとって直接の重要性を持つ」としている。
今後、最終的な批准は加盟30カ国の議会や立法府に委ねられる。NATOの指導者は加盟手続きが速やかに進み、前例のないスピード加盟とロシアのプーチン大統領に対する結束の誇示が可能になることを期待すると述べた。
NATOのストルテンベルグ事務総長は記者会見で、「トルコとフィンランド、スウェーデンによる昨晩の合意が今回の決定への道を開いた」と説明した。
フィンランドのニーニスト大統領、スウェーデンのアンデション首相、トルコのエルドアン大統領の間で行われた27日の会談の前には、ストルテンベルグ氏の支援の下、ベルギーの首都ブリュッセルで2回にわたり高官級協議が行われていたという。トルコが28日に反対を取り下げたことで、両国のNATO加盟への障害は取り除かれた。
スペインの首都マドリードで行われた今週の首脳会議では加盟国拡大に加え、欧州におけるNATOの戦力態勢を強化する新たな約束も打ち出され、近年まれにみる生産的な会合となった。NATOは今回、今後10年の目標を記した新たな「戦略概念」文書を承認。2010年以来の更新となるこの文書では、NATOの直面する安全保障上の課題を示すとともに、今後の行動指針を概説している。
今回の文書は中国の「挑戦」に初めて言及し、中国の「野心と威圧的な政策がNATOの利益と安全、価値に挑戦を突きつけている」と指摘した。戦略概念文書が中国に言及するのは初めて。10年版では中国に触れていなかった。
ロシアについては「NATOの安全や、欧州・大西洋地域の平和と安定にとって最も重大で直接的な脅威」と位置づけ、ウクライナの独立に対する支持を表明した。10年版ではロシアは「欧州・大西洋のパートナー」と位置づけられていた。
この結果はまさに、4カ月以上前にウクライナ侵攻に踏み切った時にプーチン氏が避けようとしていたものだ。
バイデン米大統領は首脳会議の会場に到着した際、「私はプーチン氏が欧州のフィランド化を狙っていると指摘した。彼はいま直面しているのは欧州のNATO化だ。これはまさにプーチン氏が望んでいなかった事態だが、欧州の安全を保証するために必要なことだ」と述べた。